ロードバイクのペダルを交換するとき、多くの人が気にするのは「重量」や「グレード」ではないでしょうか。
私も以前はそうでした。
ところが現在使っているSHIMANO ULTEGRA PD-R8000には、通常モデルとは別にペダル軸が4mm長いロングアクスル仕様があります。
たった4mm。
左右合わせても、足の位置が1cmも広がりません。
「そんなわずかな違いに意味があるの?」
と思うかもしれません。
私自身、交換してみて意外だったのは軽量化以上に、この**+4mmという小さな違い**でした。
長時間ロードバイクに乗ったとき、以前より股間の痛みが出にくくなったように感じているからです。
ただし、本当に4mm長いペダル軸のおかげなのでしょうか。
この記事では、私が実際にPD-R8000の+4mmロングアクスル仕様を使って感じたことを、SHIMANOの公式情報や自転車のスタンス幅に関する研究と照らし合わせながら考えてみます。
※使用感には個人差があります。「+4mmにすれば股間の痛みが改善する」と推奨する記事ではありません。
結論|+4mmは「軽量化」より身体との相性を考えるパーツだった
最初に結論です。
PD-R8000の+4mmロングアクスル仕様を使って感じているメリットは、私の場合、重量よりも足を置く位置が少し外側になったことです。
SHIMANOによるとPD-R8000は、
- カーボンコンポジット製の軽量ボディ
- ワイドな踏面
- ステンレス製ボディプレート
- 固定力の調整機構
- +4mmロングアクスル仕様
を備えています。標準モデルのメーカー公表平均重量はペア248gです。
SHIMANOの技術資料でもPD-R8000にはStandardと4mm Longer Axleが明確に設定されています。
つまり+4mmは、後からスペーサーを挟んだような使い方ではなく、メーカー自身が用意している正式な仕様です。
私の場合、このわずかなスタンス幅の違いが長距離で思った以上に気に入りました。
ただし、それを「+4mmだから痛みが減った」と断定することはできません。
そこが今回の記事で一番考えてみたいところです。
1|以前は2012年ごろのシマノ廉価モデルを使っていた
以前使用していたのは、2012年ごろに購入したシマノの廉価グレードのSPD-SLペダルでした。
長く使っていたので、十分に役割を果たしてくれたペダルです。
ただ、残念ながら型番を記録していません。
PD-R8000へ交換したとき、手に持った感覚では明らかに軽くなったと感じた記憶があります。
とはいえ旧ペダルの型番も実測重量も分からない以上、
「○g軽量化できた」
とはこの記事では書きません。
現在のSHIMANOロードペダルのラインアップを見ると、PD-R8000は248g、PD-R7000は265g、PD-R550は310g、PD-RS500は320gと、グレードによって重量差があります。
軽量なペダルであることはPD-R8000の魅力の一つです。
ただ、実際に使い続けてみると、私にとってもっと興味深かったのが軸の長さでした。
2|「+4mmロングアクスル」とは何が4mm長いのか
PD-R8000には、通常仕様と軸が4mm長い仕様があります。
片側4mmなので、標準仕様と比較すると左右の足の位置は合計で8mm広がることになります。
SHIMANOは、この左右のペダル間における足の間隔を「ペダリングスタンス幅」として説明しています。
ここで混同しやすいのが「Qファクター」です。
Qファクターはクランク側の左右方向の幅を指し、実際に足をどれだけ離してペダリングするかには、
クランクのQファクター+ペダル軸長+クリート位置など
複数の要素が関係します。
そのため「+4mm=Qファクターが4mm増える」と単純に考えるより、
足の実際のスタンス幅を調整する一つの方法
と考えた方が分かりやすいでしょう。
SHIMANO自身も、適切なスタンス幅には絶対的なルールはなく、身体や乗り方に合わせる必要があると説明しています。
3|なぜSHIMANOは+4mmを用意しているのか
これがなかなか面白いところです。
SHIMANOによると、従来は狭いペダリングスタンスの方が機械的効率や空力面で有利だと考えられてきました。
ところが、狭ければ誰にでも良いわけではありません。
SHIMANOは+4mm仕様について、足を近づけた状態に違和感のある人や、体格などによって広めのスタンスを好むライダーの選択肢として説明しています。
さらに、一部のプロ選手から長いアクスルへの要望があり、それがDURA-ACEとULTEGRAの+4mm仕様につながったとしています。
つまり、
狭い=高性能、広い=低性能
という単純な話ではありません。
自分の身体に対して、自然に力を出せる位置がどこなのか。
その調整幅を増やすための+4mmと考えると、かなり理解しやすくなります。
4|実際に使って感じたのは「股間が痛くなりにくい気がする」
ここからは完全に私自身の使用感です。
以前のペダルを使っていた頃は、長時間ロードバイクに乗ると股間周辺が痛くなることがありました。
PD-R8000の+4mmロングアクスル仕様に交換してからは、長時間走っても以前ほど痛みが出にくくなったように感じています。
そこで私は、
「足の位置が左右に少し広がったことで、骨盤やサドルへの座り方も変わったのでは?」
と考えました。
感覚としては納得できそうです。
では、科学的にはどうなのでしょうか。
5|+4mmで股間の痛みが減る科学的根拠はある?
調べた結論からいうと、
ペダル軸を4mm長くすると会陰部の痛みが軽減する、と直接示した研究は確認できませんでした。
ここは明確に分けておきたいところです。
ペダル間隔、いわゆるQファクターやスタンス幅を変えると、ペダリング時の身体の動きが変化すること自体は研究されています。
健康な被験者16人を対象とした研究では、ペダル間隔を変えることで膝関節の前額面方向の負荷などが変化しました。
つまり、足を置く左右位置が身体の使い方に影響すること自体には生体力学的な根拠があります。
一方、別の研究では狭いQファクターの方が広い条件より機械効率がわずかに高いという結果も出ています。
したがって、
広げれば広げるほど身体に良い
ということでもありません。
自分に合った幅が重要だと考えるべきでしょう。
6|股間の痛みについては、むしろサドルや乗車姿勢の研究が多い
では、ロードバイクで股間が痛くなること自体には根拠があるのでしょうか。
こちらはかなり研究されています。
自転車ではサドルと身体が接触することで会陰部に圧力がかかります。
2021年のシステマティックレビューでは、サドル形状、乗車姿勢、パッド、立ち上がることなど、会陰部への負担を減らす方法について既存研究が整理されています。
2023年のレビューでも、サドル圧には乗車時間、ペダリング強度、ケイデンス、上半身や手の位置、サドル形状・高さ、パッド付きショーツなど多くの要素が関係するとされています。
つまり、私が感じた変化についても、
+4mmだけが原因だったとは言えません。
ペダル交換によって脚の位置が変わり、それに伴って姿勢や骨盤の位置、サドルへの荷重などが微妙に変わった可能性もあります。
あるいは別の要因かもしれません。
だから私は、
「PD-R8000-Lにしたら股間の痛みが治った」
とは書きません。
正確には、
「私の場合、+4mm仕様へ交換してから、長時間走ったときの股間の痛みが以前より出にくくなったように感じている」
です。
この違いは商品レビューでは大切だと思っています。
7|+4mmはどんな人に向いている?
+4mm仕様を検討する価値がありそうなのは、単純に「速く走りたい人」ではないと思います。
SHIMANO自身は、広い腰幅、大きな大腿四頭筋を持つライダー、足を近づけたペダリングに違和感があるライダーなどが+4mmを好む場合があると説明しています。
また、MTBはロードよりQファクターが広い傾向があるため、ロードとMTBを乗り分ける人がスタンス幅を近づける目的にも使えるとしています。
逆に、
「今のペダリングでまったく違和感がないけれど、4mm広げればもっと速くなるだろう」
という理由だけなら、私は積極的には勧めません。
スタンス幅を広げることで膝の力学的負荷が変化する研究もあるためです。
身体との相性が重要です。
SHIMANOも、適切な軸長を判断するには専門的なバイクフィッティングを受け、可能なら両方を試すことを推奨しています。
8|私にとっては「数十g」より「4mm」の方が価値があった
ロードバイク用品を見ていると、
「○g軽量化」
という数字に目が行きます。
私もロードバイクが趣味なので、その気持ちはよく分かります。
でも、趣味として乗る私にとって、ペダルが数十g軽くなることで走行時間がどれだけ変わるのかと言われれば、それほど重要ではありません。
それより、
長時間乗っても気持ちよく走れること。
こちらの方がずっと大切です。
以前使っていた廉価ペダルからPD-R8000へ交換したことで軽量になった実感はありました。
でも、長く使った今振り返ると、
私にとって価値があったのは、重量よりも身体との相性だったのではないか
と思っています。
これはロードバイクに限らず、趣味にお金を使うときにも同じです。
高価だから良い。
軽いから良い。
上位グレードだから良い。
ではなく、
自分が長く使えて、趣味をより楽しめるか。
私はそこにお金を使いたいと思っています。
ロードバイクそのものに「どこまでお金をかけるべきか」については、別の記事で詳しく考えています。
→ ロードバイクにいくらかける?高い自転車は本当に必要なのか、趣味とお金について考える
9|PD-R8000 +4mmロングアクスルを実際に使った感想
最後に、私自身の評価をまとめます。
| 項目 | 私の評価 |
|---|---|
| 軽さ | 以前の廉価ペダルより軽く感じる。ただし旧型番不明のため重量差は算出しない |
| 踏みやすさ | 不満なし |
| +4mm | 今ではかなり気に入っている |
| 長距離 | 私の場合、以前より股間の痛みが出にくく感じる |
| 科学的根拠 | スタンス幅で身体力学が変わる研究はあるが、+4mmと会陰部痛軽減の直接的根拠は確認できない |
| 向いている人 | 現在のスタンス幅に窮屈さ・違和感がある人など |
| 注意点 | 広ければ良いわけではない。膝などへの影響も考える |
| 総評 | 軽量化以上に「自分に合うポジション」を考えるきっかけになったペダル |
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私が実際に使用しているのは、SHIMANO ULTEGRA PD-R8000の+4mmロングアクスル仕様です。
標準仕様と間違えやすいので、購入する場合は**「+4mm」「ロングアクスル」「Long Axle」などの表記を必ず確認してください。**
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※価格・在庫・商品仕様は変更される場合があります。リンク先の商品名・軸長をご自身でも確認してください。
おわりに|たった4mmでも、ロードバイクは面白い
ペダル軸が4mm長い。
数字だけを見ると、本当に小さな違いです。
左右合わせても8mm。
それでも人間の身体と自転車が接する場所では、その小さな違いがペダリングの感覚を変えることがあります。
私の場合、PD-R8000の+4mm仕様は結果的に気に入っているパーツの一つになりました。
ただし、その理由を「軽いから」「高いグレードだから」だけで説明するつもりはありません。
そして、股間の痛みが減ったように感じることについても、+4mmのおかげだと断定できる科学的根拠は見つかりませんでした。
自分では良いと感じる。でも、調べてみると分からないこともある。
それも含めて、実際に長く使った道具を紹介していきたいと思います。
ロードバイクは、性能だけを追い始めればいくらでもお金をかけられる趣味です。
だからこそ私は、
「何g軽くなったか」より、「そのお金で自分の趣味がどれだけ快適になったか」
を大切にしたいと思っています。
注意事項
この記事は筆者自身の使用経験をもとにしたレビューです。使用感や身体への影響には個人差があります。
股間・会陰部の痛み、しびれなどが続く場合は、ペダル軸長だけで解決しようとせず、サドル、ポジション、バイクフィッティング等を確認し、症状が持続する場合は医療機関への相談も検討してください。
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