「FIREしたら、毎月いくらあれば生活できる?」
FIREを考えていると、資産額ばかりに目が向きがちです。
1億円あればFIREできるのか。
1億5,000万円なら安心なのか。
2億円必要なのか。
もちろん資産額は重要です。
でも、その前に考えておきたいことがあります。
それは、
「FIREした後、毎年いくら使うのか?」
ということです。
同じ1億円を持っていても、年間300万円で暮らせる人と、年間600万円必要な人では、資産の持ち方もFIREできる時期も大きく変わります。
前回の記事では、FIRE後の資産をどう取り崩していくのかについて考えました。
今回はもう一歩手前に戻って、
「そもそもFIRE後の生活費はいくら必要なのか?」
について考えてみます。
FIRE後の生活費は「今の生活費」と同じではない
まず知っておきたいのが、
FIRE後の生活費は、会社員時代と同じとは限らない
ということです。
会社員として働いていると、
- 通勤費
- スーツや仕事用の衣服
- 外食
- 昼食代
- 仕事上の付き合い
- 職場の飲み会
- 時間を買うための外注費
など、働いているからこそ発生する支出があります。
一方、FIREするとこうした支出が減る可能性があります。
その代わり、
- 旅行
- 趣味
- 外食
- 家で過ごすための設備
- 車
- DIY
- 家の修繕
- 家族とのレジャー
など、自由な時間が増えることで増える支出もあります。
つまり、
FIRE=生活費が必ず下がる
わけではありません。
むしろ重要なのは、
「働かなくなったら、自分は何にお金を使うのか」
を事前に考えておくことです。
日本の平均的な生活費はいくら?
参考として、総務省の2025年「家計調査」を見てみましょう。
2025年の二人以上の世帯の消費支出は、1か月平均31万4,001円でした。
単純に12か月分にすると、
約377万円/年
です。
一方、単身世帯では月17万3,042円、年間では約208万円です。
ただし、ここで注意したいのは、これらはあくまで「平均」だということ。
住んでいる場所、住宅ローンの有無、子どもの人数、車の有無、趣味などによって生活費は大きく変わります。
そのため、
「日本の平均が年間377万円だから、FIREには377万円あればいい」
とは考えません。
FIREの生活費は、平均ではなく自分の家計から作ることが大切です。
FIRE後の生活費は4つに分けて考える
私は、FIRE後の生活費を考えるとき、単純に「毎月いくら?」だけで考えないほうがいいと思っています。
次の4つに分けると、かなり分かりやすくなります。
①毎月必ず必要な生活費
住宅費、食費、光熱費、通信費などです。
②毎月ではないけれど必要な費用
固定資産税、車検、家電の買い替え、家の修繕など。
③人生を楽しむための費用
旅行、外食、趣味、レジャーなどです。
④予備費
病気、故障、急な出費などへの備えです。
この4つを合計すると、
「FIRE後に本当に必要なお金」
が見えてきます。
では、この生活費がFIREに必要な資産額にどうつながるのでしょうか。以前の記事では、年間300万円・400万円・500万円・600万円の生活費から、4%・3.5%・3%の取り崩し率で必要資産を逆算しています。
→FIREに必要な資産はいくら?年間生活費300万・400万・500万・600万円で考えてみた
年間300万円なら、どんなFIRE生活?
年間300万円なら、月平均では25万円です。
単身なら、十分現実的な水準でしょう。
二人以上の世帯でも、住宅費を抑え、自炊中心の生活をすれば十分狙えるケースがあります。
例えば、
- 食費:60万円
- 住居費:60万円
- 水道光熱費:30万円
- 通信費:12万円
- 日用品:18万円
- 保険・医療:20万円
- 交通費:20万円
- 趣味・娯楽:30万円
- その他・予備費:50万円
合計300万円。
かなり生活をコンパクトにする必要はありますが、
「お金をあまり使わないこと自体が苦痛ではない人」
なら、十分検討できる金額です。
特に、
- 持ち家
- 自炊中心
- 車を持たない
- 格安SIMを利用
- 大きな買い物をあまりしない
といった条件がそろえば、生活費はかなり下げられます。
年間400万円なら、かなり現実的になる
年間400万円は、月平均約33.3万円。
年間300万円と比べて100万円増えるだけですが、生活の自由度はかなり上がります。
例えば、
- 年に数回旅行する
- 外食を楽しむ
- 趣味にお金を使う
- 車を所有する
- 家の修繕費を確保する
といったことも考えやすくなります。
個人的には、
「節約だけでFIREを成立させる」のではなく、ある程度楽しみながら暮らす
ことを考えるなら、年間400万円は一つの基準になると思います。
もちろん家族構成によって必要額は大きく変わります。
年間500万円なら「我慢しないFIRE」に近づく
年間500万円なら、月平均約41.7万円。
このあたりから、生活費をかなり細かく削る必要はなくなってきます。
もちろん無駄遣いをすれば足りなくなるでしょう。
しかし、
「旅行に行きたい」
「たまには外食したい」
「趣味にもお金を使いたい」
という生活をしながらFIREを目指しやすくなります。
例えば、
- 基本的な生活費:300万円
- 旅行・レジャー:80万円
- 趣味・外食:50万円
- 家・車などの維持費:40万円
- 予備費:30万円
という考え方もできます。
ポイントは、
生活費を削ることだけを目標にしない
ことです。
FIREは「人生を楽しむため」に目指すものだからです。
年間600万円なら、かなり余裕を持った生活
私自身が現在考えているのが、
年間600万円程度
という生活費です。
月平均では50万円。
前回の記事でも書いたように、私は50歳で1億5,000万円程度の資産を一つの目標にしています。
年間600万円という数字だけを見ると、
「そんなに必要なの?」
と思う人もいるかもしれません。
でも、私が想定している生活は、毎日高級レストランに行くようなものではありません。
自炊。
庭の手入れ。
DIY。
ロードバイク。
図書館。
家族との旅行。
日本一周。
軽バンでのキャンプ。
こうしたことを楽しみながら暮らしたいと考えています。
つまり、
「贅沢をしたいから年間600万円必要」
というわけではありません。
自由な時間が増えたFIRE後に、
「お金を理由にやりたいことを我慢したくない」
という意味で、少し余裕を持たせています。
FIRE後は「毎月の生活費」だけ見てはいけない
ここはFIRE計画で意外と見落としやすいところです。
例えば毎月30万円なら、
30万円 × 12か月 = 360万円
です。
「年間360万円あればいい」
と思ってしまいます。
しかし、実際の生活では毎月均等にお金を使うわけではありません。
例えば、
- 車検
- 自動車税
- 固定資産税
- 家電の買い替え
- エアコンの修理
- 給湯器の交換
- 屋根や外壁の修繕
- 冠婚葬祭
- 家族旅行
などがあります。
これらを無視すると、
「毎月の生活費は足りているのに、なぜかお金が減る」
ということになります。
そのため、FIRE後の生活費は、
毎月の支出+年間特別支出
で考えることが重要です。
「生活費」と「自由費」を分けるとFIREしやすい
もう一つおすすめしたいのが、
生活費と自由費を分ける方法
です。
例えば年間500万円必要だとしても、
「500万円全部が絶対必要」
とは限りません。
仮に、
- 基本生活費:300万円
- 自由費:100万円
- 特別支出:50万円
- 予備費:50万円
だったとします。
この場合、相場が悪い年には、
自由費を100万円→50万円
に減らすこともできます。
逆に相場が好調なら、
旅行を増やしたり、趣味に使ったりできます。
こうすると、
「年間500万円が絶対必要な生活」
ではなく、
「年間350~500万円程度で調整できる生活」
になります。
この柔軟性は、FIRE後の資産管理ではかなり大きな武器になります。
FIRE後は「使わないお金」も必要
もう一つ重要なのが、生活費とは別の現金です。
FIREすると、
「資産は全部投資しておけばいい」
と考えたくなるかもしれません。
しかし、株式市場はいつでも上昇するわけではありません。
大きな下落が起きたとき、
「今は株を売りたくない」
と思っても、生活費が必要なら売らざるを得ません。
だから私は、
FIRE後の生活費とは別に、ある程度の現金を持っておく
ことが重要だと考えています。
これは「運用資産をいくら持つか」とは別の問題です。
前回の記事で書いたように、FIRE後は相場が悪いときに無理に資産を売却しない工夫も重要になります。
つまり、
生活費の金額だけでなく、「いつ使うお金なのか」まで考える
必要があります。
税金・社会保険料も忘れてはいけない
FIRE後の生活費を考えるときに、もう一つ注意したいのが、
税金や社会保険料
です。
会社員時代は給与から天引きされているため、あまり意識しないかもしれません。
しかし、退職すると、
- 国民健康保険
- 国民年金
- 住民税
- 所得税
などについて、自分で考える必要があります。
また、FIRE後の収入が、
- 給与
- 配当
- ブログ収入
- 投資信託や株式の売却
- その他の副業収入
など、どのような形になるかによっても税負担は変わります。
したがって、
「年間600万円使いたいから、600万円の収入があればいい」
とは限りません。
実際のFIRE計画では、
生活費+税金・社会保険料
まで含めて考えておきたいところです。
FIRE後の生活費は「今の家計簿」から作る
では、具体的にどうやって自分のFIRE後の生活費を計算すればいいのでしょうか。
私は、
現在の家計簿をベースにする
のが一番簡単だと思います。
まず、現在の支出を全部書き出します。
そして、
FIRE後も必要
- 食費
- 住宅費
- 光熱費
- 通信費
- 医療費
- 日用品
- 車の維持費
FIRE後は減りそう
- 通勤費
- 仕事用の衣服
- 仕事上の外食
- 職場の付き合い
FIRE後に増えそう
- 旅行
- 趣味
- レジャー
- 家族との外食
というように分類します。
最後に、
FIRE後にやりたいこと
を追加します。
これだけでも、かなり現実的な生活費が見えてきます。
FIRE後の生活費を4パターンで考えてみる
ここまでをまとめると、ざっくり次のようなイメージになります。
| 年間生活費 | 月平均 | FIRE後のイメージ |
|---|---|---|
| 300万円 | 25万円 | コンパクトな生活 |
| 400万円 | 約33万円 | 無理のない標準的な生活 |
| 500万円 | 約42万円 | 趣味・旅行も楽しむ |
| 600万円 | 50万円 | かなり余裕を持った生活 |
もちろん、これは「おすすめ金額」ではありません。
同じ年間400万円でも、住宅費が高い人と持ち家の人では生活内容がまったく違います。
大切なのは、
自分にとってどの金額なら「我慢しすぎず、安心して暮らせるか」
です。
FIREに必要な資産も生活費で変わる
ここで初めて、資産額の話につながります。
例えば単純化して、年間生活費を取り崩し率で割ると、
| 年間生活費 | 4% | 3.5% | 3% |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 7,500万円 | 約8,570万円 | 1億円 |
| 400万円 | 1億円 | 約1億1,430万円 | 約1億3,330万円 |
| 500万円 | 1億2,500万円 | 約1億4,290万円 | 約1億6,670万円 |
| 600万円 | 1億5,000万円 | 約1億7,140万円 | 2億円 |
この表を見ると、
年間生活費100万円の違いが、必要資産では数千万円の差になる
ことが分かります。
だからこそ、FIREを考えるときは、
「1億円貯めればFIRE」
ではなく、
「自分の生活費はいくらなのか?」
から考えることが重要です。
なお、ここでの取り崩し率はあくまで単純計算です。
実際のFIREでは、運用利回り、インフレ、税金、年金、資産配分、FIRE期間、相場下落などを考える必要があります。
→FIREに必要な資産はいくら?年間生活費300万・400万・500万・600万円で考えてみた
私の場合は「年間600万円」が目標
私自身は、現在41歳。
世帯資産は5,000万円を超えており、50歳で1億5,000万円程度を一つの目標にしています。
私自身がなぜFIREを目指すようになったのか、年収250万円だった社会人1年目から現在まで、どのように資産を築いてきたのかについては、「40代からFIREを目指す」という記事で詳しく紹介しています。
そして、FIRE後の生活費として考えているのが年間600万円程度です。
ただし、
毎年必ず600万円使う
という意味ではありません。
相場が悪ければ少し支出を抑える。
収入があれば取り崩しを減らす。
相場が好調なら旅行などに少し多く使う。
そんな柔軟な生活を想定しています。
また、FIRE後もブログを続けたり、興味のある仕事をしたりする可能性があります。
つまり、
「資産だけで年間600万円を永遠に生み出す」
という計画ではありません。
資産収入、労働収入、将来の年金などを組み合わせながら生活するつもりです。
FIREは「最低限の生活費」ではなく「理想の生活費」で考える
FIREを目指していると、
「できるだけ生活費を下げれば、早くFIREできる」
と考えがちです。
これは確かにその通りです。
年間生活費を600万円から500万円に下げれば、必要資産も大きく変わります。
ただし、
生活費を下げすぎる必要はありません。
FIREは、仕事を辞めることそのものが目的ではないからです。
「仕事を辞めたけど、お金がないから何もできない」
という生活では、FIREした意味が薄れてしまいます。
大切なのは、
自分が本当に幸せを感じることにはお金を使う。
一方で、
あまり価値を感じないことにはお金を使わない。
このメリハリです。
私自身も、服ならユニクロやワークマン、食材なら業務スーパーや安いスーパーなど、生活の中でお金をかけるところとかけないところを分けています。
FIRE後も、この考え方は変わらないと思います。
まとめ|FIRE後の生活費は「いくら必要か」ではなく「どう暮らしたいか」
FIRE後の生活費に正解はありません。
年間300万円でも暮らせる人がいれば、600万円必要な人もいます。
重要なのは、
「自分はいくらあれば、やりたいことを我慢せずに暮らせるのか」
を考えることです。
そのためには、
- 現在の家計を確認する
- FIRE後に減る支出を考える
- FIRE後に増える支出を考える
- 年間の特別支出を加える
- 税金・社会保険料を考える
- 趣味や旅行など「人生を楽しむお金」を確保する
- 相場が悪いときに削れる支出も決めておく
という順番で考えると分かりやすいでしょう。
そして最後に、
FIREは「最低いくらで生きられるか」を競うゲームではありません。
大切なのは、
「どんな生活なら、自分は幸せなのか?」
を考えること。
年間300万円の生活が幸せなら、300万円でいい。
年間500万円必要なら、500万円を目標にすればいい。
私の場合は、家族との旅行や趣味なども楽しみながら、年間600万円程度を一つの目安にしています。
前回の記事では、そこからさらに「その生活費をどうやって資産から取り崩していくか」を考えました。
FIREを目指すなら、
「いくら貯めるか」だけではなく、「FIREした後にどんな生活をしたいか」
まで考えておく。
そのほうが、目標資産額も、FIREまでの道のりも、ずっと具体的になってくると思います。

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