FIRE後の税金・社会保険はいくら?退職後に必要なお金を2026年制度で解説

リタイア

「FIREしたら、税金や社会保険はいくら払う?」

「会社を辞めて収入が減れば、税金もすぐ安くなる?」

FIRE後の生活費を考えるとき、食費や住居費、光熱費などには目が向きやすい一方、忘れやすいのが税金と社会保険料です。

会社員時代は給与から天引きされるものが多いため、毎月の生活費とは別物のように感じるかもしれません。

しかし会社を退職すると、自分で支払うものが増えます。

特に注意したいのが、退職直後から翌年度にかけての資金繰りです。

住民税や国民健康保険は前年の所得が影響するため、会社員時代の収入が高かった人ほど、

「給料はなくなったのに、税金や社会保険の負担はまだ大きい」

という期間が生じる可能性があります。

私自身、50歳でのFIREを目標にしています。

FIRE後は年間600万円ほどあれば余裕のある生活ができると考えていますが、実際に計画するなら、

「その600万円に税金や社会保険料を含めているのか?」

まで考えなければいけません。

この記事では2026年9月時点の制度をもとに、FIRE後に必要になる税金・社会保険を整理します。

株パパ

株式投資歴17年目のサラリーマン投資家、2児のパパ
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FIREしても税金・社会保険はなくならない

FIRE後に確認したい4つのお金

会社を辞めれば給与はなくなります。

しかし、税金や社会保険料まで同時になくなるわけではありません。

FIRE後に特に確認したいのは、

  • 住民税
  • 健康保険
  • 国民年金
  • 投資収益などにかかる税金

です。

ただし、これらを単純に、

「FIREしたら年間○万円かかる」

と一律に計算することはできません。

前年の所得、住んでいる自治体、年齢、家族構成、加入する健康保険、FIRE後の収入、投資資産をどの口座から取り崩すかなどによって変わるからです。

そのため、まず制度を一つずつ理解しておきましょう。


FIREで特に注意したいのは退職直後〜翌年度

FIRE前に知っておきたいのが、退職した瞬間にすべての負担がFIRE後の所得水準になるわけではないことです。

50歳でFIREするとき|退職前後のお金の流れ
退職した瞬間に、すべての負担が軽くなるわけではない

たとえば住民税は、前年の所得を画像もとに計算されます。

国民健康保険も、前年所得や世帯人数などが保険料に影響します。

一方、健康保険の任意継続を選ぶ場合は、退職時の標準報酬月額をもとに保険料が決まります。

つまり退職後の負担は、

「現在の収入がいくらか」

だけを見ても分かりません。

FIRE前後は時系列で考える

たとえば50歳で会社を退職するとします。

退職前

会社の健康保険・厚生年金に加入し、住民税なども給与から天引きされている。

退職

会社の健康保険・厚生年金から外れる。

退職直後

健康保険について、

  • 任意継続
  • 国民健康保険
  • 家族の健康保険の扶養

などから条件に合うものを選ぶ。

20歳以上60歳未満で厚生年金などに加入せず、第3号被保険者にもならない場合は、国民年金第1号被保険者への切り替えが必要。

退職後

前年所得をもとにした住民税や、国保を選んだ場合には前年所得などを反映した保険料の負担が残ることがある。

その後

FIRE後の所得水準が住民税や国保の計算に反映されていく。

この時間差を理解しておくことが重要です。


住民税|退職して収入が減っても負担が残る

住民税で重要なのが、

前年の所得をもとに計算される

という点です。

会社員の場合、給与にかかる住民税は通常、会社が給与から天引きして納付しています。

ところが退職すると、残っている住民税を自分で支払うケースがあります。

さらに翌年度には、会社員として働いていた前年の所得をもとにした住民税が課税されることがあります。

そのため、

「FIREしたから収入が減った。税金もすぐ少なくなる」

とは限りません。

FIRE直前には、日常生活費だけでなく、退職後に支払う住民税についても確認しておきたいところです。


健康保険|国保・任意継続・家族の扶養を比較する

会社を退職すると、それまで勤務先で加入していた健康保険から外れます。

退職後の主な選択肢は、

  1. 健康保険の任意継続
  2. 国民健康保険
  3. 家族の健康保険の被扶養者

です。

任意継続

協会けんぽの場合、任意継続を利用するには、

  • 退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上ある
  • 退職日の翌日から20日以内に手続きする

などの条件があります。

在職中は会社と本人で保険料を負担していますが、任意継続では本人が全額を負担します。

そのため、給与明細に記載されていた本人負担額だけを見て、

「退職後もこれくらいだろう」

と考えない方がいいでしょう。

なお、協会けんぽの任意継続には保険料計算に使う標準報酬月額の上限があります。

また、扶養家族について追加の保険料がかからないのも特徴です。

国民健康保険

国民健康保険は、前年所得や世帯人数などによって保険料が決まります。

さらに保険料の計算方法は自治体によって異なります。

そのため、

任意継続と国保のどちらが安いかは人によって違います。

FIREする年には、自分が住んでいる自治体の国保と、勤務先の健康保険を任意継続した場合の金額を実際に比較した方がいいでしょう。

家族の健康保険の扶養

配偶者などが会社員として健康保険に加入している場合、条件を満たせば被扶養者になれる可能性もあります。

収入要件などがありますので、加入先の健康保険へ確認が必要です。

つまり、

「FIRE=国民健康保険」ではありません。

退職時に比較することが大切です。


国民年金|2026年度は月17,920円

会社員として厚生年金に加入していた人が退職し、日本国内に住む20歳以上60歳未満で、厚生年金などにも加入せず、第3号被保険者にもならない場合は、国民年金第1号被保険者として加入することになります。

2026年度の国民年金保険料は、

月額17,920円

です。

12か月なら、

215,040円

になります。

夫婦ともに第1号被保険者となるケースなら、それぞれについて保険料が必要になります。

なお、国民年金には一定期間をまとめて前払いする「前納」があり、納付方法や前納期間によって割引があります。

FIRE後の生活費を考える際には、食費や光熱費だけでなく、こうした社会保険料も年間支出に入れておく必要があります。


FIRE後の投資収益にはどんな税金がかかる?

FIREでは、給与の代わりに金融資産を取り崩して生活する人も多いでしょう。

ここで重要なのが、

NISA口座と課税口座では税金の扱いが違う

ことです。

NISA

NISA口座で保有する対象商品から得た配当等や売却による譲渡益は、制度上、非課税となります。

たとえばNISAで100万円で購入した投資信託が150万円になり、それを売却した場合、50万円の値上がり益についてNISAの要件を満たす範囲では課税されません。

FIRE後の取り崩しを考えるうえで、この非課税という特徴は大きいでしょう。

課税口座

一方、課税口座(特定口座)の上場株式等を売却して利益が出た場合は、原則としてその譲渡益が課税対象になります。

2026年時点では、所得税・復興特別所得税と住民税を合わせて実質20.315%です。

ここで注意したいのが、

売却額全体に20.315%かかるわけではない

ということです。

たとえば、

100万円で購入

150万円で売却

なら、基本的には差額の50万円が譲渡益です。

「年間600万円取り崩したら、その600万円すべてに20.315%の税金がかかる」

という意味ではありません。

この違いは、FIRE後の取り崩しを考えるうえで非常に重要です。

FIRE後の資産取り崩しはどうする?1億5,000万円をどう使いながら長く暮らすか


FIRE後の生活費には税金・社会保険も入れて考える

FIREの必要資産を考えるとき、

年間生活費 × 25

という4%ルールを使うことがあります。

たとえば年間600万円なら、

600万円 × 25 = 1億5,000万円

です。

ただし、ここで重要なのが、

「年間600万円」の中身です。

たとえば、

食費
住居費
水道光熱費
通信費
旅行・趣味
教育関連費

だけで600万円使い、

さらに、

住民税
健康保険
国民年金
投資収益にかかる税金

を別に払うのであれば、実際の年間支出は600万円を超えます。

逆に、

税金・社会保険料まで含めて年間600万円

と考えているなら、その中で家計を設計する必要があります。

したがってFIRE後の年間支出は、

日常生活費
+ 税金
+ 社会保険料
+ 特別費

で考えるのが分かりやすいでしょう。

FIRE後の生活費は何にいくら使う?年間300万・400万・500万・600万円で考えてみた


50歳でFIREした場合のモデルケース

ここまでの制度を、50歳で会社員を辞めるケースに当てはめてみます。

あくまで説明用のモデルケースです。実際の税金・社会保険料は、前年所得、居住地、家族構成、加入する健康保険などによって変わります。

項目モデル条件
年齢50歳
前年の給与収入800万円
FIRE後の給与収入0円
日常生活費年600万円
国民年金本人分を計算
健康保険年50万円と仮定
住民税年45〜50万円と仮定

2026年度の国民年金保険料は月17,920円なので、本人1人なら年間215,040円です。

これを合計すると、

支出年間額
日常生活費600万円
住民税約45〜50万円
国民年金約21.5万円
健康保険約50万円
合計約716.5〜721.5万円

つまり、「生活費600万円」と考えていても、税金・社会保険を別にすれば実際の支出は700万円を超える可能性があります。

4%ルールで単純比較すると、

600万円 ÷ 4% = 1億5,000万円

に対して、

720万円 ÷ 4% = 1億8,000万円

です。

ただし、ここで**「3,000万円もFIRE資産を増やさなければならない」**と考える必要はありません。

住民税や国保などは、退職前の所得の影響が残る期間と、その後で負担が変わる可能性があります。

そのため私は、

通常のFIRE生活費

退職直後の税・社会保険に備える現金

を分けて準備する方が現実的だと考えています。

FIRE直前には、生活防衛資金とは別に、退職後にある程度予測できる支払いを現金で確保しておく

これなら、相場が悪い時期に税金や社会保険料のためだけに投資資産を売るリスクも減らせます。

私の場合|50歳FIREなら税・社会保険まで含めて考えたい

私は50歳でのFIREを目標にしています。

FIRE後は、年間600万円ほどあれば余裕のある生活ができると考えています。

ただし今回あらためて制度を確認すると、

「600万円あれば生活できる」だけではFIRE計画として不十分

だと感じます。

その600万円に、

  • 住民税
  • 健康保険
  • 国民年金
  • 投資資産を取り崩す際の税金

まで含めるのかを決めておかなければならないからです。

特に私が注意したいと思っているのが、退職直後から翌年度にかけての資金繰りです。

会社員時代の所得が住民税や国保の計算に影響する一方、退職後には給与収入がなくなります。

そのタイミングで相場まで大きく下落していたら、

「税金を払うために株を売る」

という状況にもなりかねません。

これはできれば避けたいところです。


FIRE直前には「退職後の支払い用現金」も考えておく

そこでFIRE直前には、普段の生活防衛資金とは別に、

退職後に確実に必要になる税金・社会保険料

を確認しておく必要があると考えています。

これは、以前書いた生活防衛資金の記事とも少し性格が違います。

生活防衛資金は、

何か起きたときのためのお金。

一方、退職後の住民税や年金、健康保険料は、

ある程度予測できる支出。

です。

私はお金を、

使うお金
守るお金
育てるお金

に分けて考えています。

FIRE直後に必要になる税・社会保険料は、「守るお金」というより、退職時期が近づけば使うことが分かっているお金として現金で確保する方が考えやすいでしょう。

生活防衛資金はいくら必要?貯金を残して投資に回す金額の決め方

FIRE直前になったら、

① 日常生活用の現金

② 退職後の税・社会保険料

③ 生活防衛資金

を確認したうえで、それ以外の長期資金を投資に残す。

私はこの形を目指したいと考えています。


FIRE後は「収入ゼロ」にする必要もない

FIREというと、

仕事を完全に辞めて収入ゼロ

をイメージするかもしれません。

しかし、FIRE後の生活設計は人それぞれです。

アルバイト、副業、事業収入、配当など、何らかの収入を得ながら生活する方法もあります。

私自身もFIRE後は完全に無収入になることを前提にはしていません。

ブログなどからの収入や配当、興味のある仕事を少しする可能性もあります。

ただし、収入があれば税金や社会保険料にも影響する可能性があります。

そのため、

「FIRE後の収入が多いほど絶対に得」

とも、

「所得をゼロにするほど得」

とも単純には言えません。

FIRE後の生活費だけでなく、どのような収入を得ながら、どの資産を取り崩すのかまで考えることが出口戦略になります。


まとめ|FIRE必要資産は「退職後に実際に出ていくお金」で考える

FIRE後も税金や社会保険料は必要です。

特に確認したいのは、

住民税

前年所得の影響が残る。

健康保険

任意継続・国民健康保険・家族の扶養などを比較する。

国民年金

20歳以上60歳未満で第1号被保険者となる場合、2026年度は月額17,920円。

投資収益への税金

NISAは対象となる配当等・譲渡益が非課税。課税口座では上場株式等の譲渡益などに原則20.315%が課税される。

そしてFIRE計画では、

日常生活費
+ 税金
+ 社会保険料
+ 特別費

まで含めた年間支出を考える必要があります。

私自身、50歳FIREを目標にしていますが、今回制度を確認して改めて重要だと思ったのは、

FIRE直前には資産額だけでなく「退職後にいつ、何を、いくら払うのか」を確認すること

です。

資産が十分あっても、その多くが株式なら、相場が悪いタイミングで税金や社会保険料の支払いが来る可能性があります。

だからこそ、退職時期が近づいたら必要な支出を現金で確保する。

そのうえで残った長期資金を運用し続ける。

FIREは「いくら貯めれば会社を辞められるか」だけではなく、

会社を辞めた後のお金の流れまで設計して初めて完成する

のだと思います。

免責事項

本記事は2026年9月時点の公的機関の公開情報と筆者自身のFIRE計画をもとに作成しています。税金・社会保険料は所得、年齢、家族構成、居住地、加入する健康保険などによって異なります。また制度や保険料は改正される場合があります。実際に退職する際は、国税庁、日本年金機構、加入する健康保険、市区町村などの最新情報をご確認ください。

参考情報

日本年金機構「国民年金保険料」

協会けんぽ「退職後の健康保険」

国税庁「NISA制度」

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