投資で元本割れしたとき|10年分の利益が消えて初めて分かったこと

投資

NISAをきっかけに投資を始め、オルカンやS&P500などのインデックスファンドを積み立てている。

気づけば評価額も増えてきた。

「投資って、思ったより簡単なのかもしれない」

そんなふうに感じている人もいるかもしれません。

でも、NISAを使っていても、株式や投資信託に元本保証はありません。

長く投資を続けていれば、大きく資産が減る局面に出会う可能性があります。

私にもありました。

2022年、それまで10年近くかけて積み上げてきた生涯利益がほぼ消え、資産評価額が累計入金額を下回りました。

投資について何も知らなかったわけではありません。

長期投資について勉強していましたし、株価が上がり続けるものではないことも分かっていました。

それでも、自分の証券口座で実際に元本割れを見るのはまったく別の話でした。

「今までの10年間は何だったんだろう」

市場だけではなく、10年間投資してきた自分自身の判断まで信じられなくなりそうになりました。

この記事では、投資で元本割れすると実際にどんな気持ちになるのか。

そして、その経験から私が考えるようになった**「長期投資を続ける」という言葉の難しさ**について書いてみます。

株パパ

株式投資歴17年目のサラリーマン投資家、2児のパパ
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NISAでも元本割れする

まず大前提として、NISAを利用していても元本保証されるわけではありません。

NISAは、一定の条件のもとで投資による利益を非課税にする制度です。

投資した商品の価格が下がらない制度ではありません。

金融庁も、株式や投資信託などでは預貯金より高いリターンを期待できる一方、元本割れのおそれがあると説明しています。そこで資産形成の基本として示されているのが、長期・積立・分散です。

投資する時期を分ける。

投資先を分散する。

そして長期間続ける。

これは私も非常に大切だと思っています。

ただし、

「長期投資なら元本割れしない」

という意味ではありません。


長期投資すると元本割れしにくくなるのは本当?

過去のデータを見ると、運用期間を長くすることで結果の振れ幅が小さくなり、元本割れの可能性が低下してきた例があります。

金融庁が示しているシミュレーションでは、1989年以降、毎月同額ずつ国内外の株式・債券へ積立・分散投資した場合、

5年間保有では、100万円が74万円~176万円。

元本割れしたケースがあります。

一方、

20年間保有では、100万円が186万円~331万円。

この過去データの範囲では、20年間保有したケースに元本割れはありませんでした。

J-FLECも、長期間続けることで一時的な価格変動の影響を和らげ、元本割れの可能性を軽減できると説明しています。

ただし、ここはとても重要です。

「20年投資すれば将来も必ず元本割れしない」という意味ではありません。

これは国内外の株式・債券へ積立・分散投資した過去のシミュレーションです。

株式だけを一括投資した場合でもありません。

未来の結果を保証するものでもありません。


「長期投資なら大丈夫」は知っていた。それでも怖かった

私も、こうした考え方は知っていました。

投資を始めたばかりでもありません。

それまで10年近く市場にいました。

上昇も下落も経験していました。

株式は値動きするもの。

長期投資では下落局面もある。

頭では分かっていました。

でも、

統計として理解することと、自分のお金が減っていくことはまったく違います。

2022年、それを思い知らされました。


2022年1月、10年かけて積み上げた利益が消えた

2022年の下落局面で、私の資産も減っていきました。

そのときのイメージを図にすると、こんな状態でした。

2022年の元本割れ経験|資産評価額が累計入金額を下回った推移

一日ですべてがなくなったわけではありません。

何カ月もかけて下がっていきます。

最初は、

「まあ、こういうこともある」

と思えます。

さらに下がる。

「そろそろ止まるだろう」

と思う。

また下がる。

そうして気づけば、それまで積み上げてきた生涯利益がどんどん小さくなっていました。

そしてついに、

資産評価額が、それまで入金してきた累計元本を下回りました。

投資を始めて数カ月後の元本割れではありません。

10年近く投資してきた後の元本割れでした。

これが本当につらかった。

長い時間をかけて投資してきた。

失敗もした。

利益も積み上げてきた。

それが画面上では、

「全部なかったことになった」

ように見えました。

「今までの10年間は何だったんだろう」

本気でそう思いました。


一度100万円まで回復した。それでも終わらなかった

その後、2022年3月には生涯利益が100万円ほどまで回復しました。

少し安心しました。

「やっぱり戻ってきた」

そう感じました。

ところが、それで終わりではありませんでした。

再び資産は下落。

そして2022年4月から7月にかけて、再び元本割れの期間を経験しました。

一度戻ってきたところから、もう一度マイナスになる。

これは精神的にかなり堪えました。

頭では、

「長期投資なんだから」

と思います。

でも心のどこかでは、

「本当にこのままでいいのか?」

という疑問が出てきます。

知識があれば平気になるわけではありませんでした。

知っていても、怖いものは怖い。

これが実際に元本割れして分かったことの一つです。


一銘柄の含み損と「生涯損益のマイナス」は違った

個別株を長くやっていると、一つの銘柄が含み損になること自体は珍しくありません。

100万円で買った株が80万円になる。

もちろん、これもつらいです。

でも2022年に感じた怖さは少し違いました。

一つの投資判断が外れたのではありません。

自分の投資人生そのものがマイナスになったように見えた。

長年投資を続け、

「少しずつ資産形成できている」

と思っていた土台ごと崩されたような感覚でした。

市場を疑うだけではありません。

自分自身を疑い始めます。

「自分のやってきたことは間違っていたのではないか」

「今まで利益が出ていたのは、たまたまだったのではないか」

「今売らなかったら、もっと悪くなるのではないか」

投資を始める前には想像していなかった種類の怖さでした。


投資歴10年でも元本割れする理由

ここで、一つ重要なことがあります。

「投資歴10年」と「すべてのお金を10年間運用した」は同じではありません。

例えば10年前に100万円を一括投資して、そのまま10年間持っていたとします。

その100万円には10年間の値上がりによる利益が積み上がっている可能性があります。

でも、積立や追加投資を続けている人は違います。

10年前のお金。

5年前のお金。

3年前のお金。

昨年入れたお金。

今月入れたお金。

それぞれ運用期間が違います。

投資歴が10年あったとしても、最近入金したお金には10年間の利益というクッションはありません。

だから、

「10年投資しているから、もう元本割れしない」

とは言えないのです。

私はこれを、2022年に実感しました。


元本割れしたときに必要だったのは「相場予想」ではなかった

では、2022年に何を考えたのか。

「ここが底だ」と分かったわけではありません。

翌月株価が上がるのか、さらに下がるのかも分かりません。

だから重要だったのは、

相場を当てることではなく、自分がなぜ投資しているのかを確認すること

でした。

市場が下落しただけで、投資する理由そのものが変わったのか。

生活に必要なお金まで投資していないか。

自分が取っているリスクは、本当に許容できる範囲なのか。

考えるべきなのはこちらでした。

私は投資を続けました。

怖くなかったからではありません。

怖かったけれど、値下がりしたというだけでは売る理由にならなかったからです。


元本割れして初めて「リスク許容度」が分かった

投資を始めるとき、

「あなたのリスク許容度は?」

と聞かれることがあります。

でも、これは実際にはかなり難しい質問だと思います。

資産が増えているときなら、

「30%くらい下落しても大丈夫」

と言えるかもしれません。

では、本当に数百万円単位で資産が減ったときも同じことを言えるか。

これは別問題です。

私自身、2022年を経験して、

自分はどこまで下がると精神的につらくなる人間なのか

を初めて具体的に知りました。

リスク許容度は、診断テストだけで完全に分かるものではないと思います。

市場に参加し、値動きを経験しながら、自分について知っていく部分もあります。

だからこそ、初心者のうちから無理に大きなお金を投資する必要はありません。


NISA初心者に伝えたい。「いくら増えるか」だけを見ない

NISAを始めると、

「毎月5万円を20年積み立てるといくらになる?」

「年利5%なら○万円になる」

といったシミュレーションを見る機会が増えます。

私もシミュレーションは大切だと思っています。

でも、そこで使われるグラフは、一定利回りでなめらかに右肩上がりになっていることが多いです。

現実の市場は違います。

上がる。

下がる。

大きく下がる。

戻る。

また下がる。

その繰り返しです。

だから、

「いくら増える可能性があるか」と同時に、「途中でどれだけ減っても続けられるか」

を考える必要があります。

これから株式投資を始める方には、最初に仕組みとリスクを理解してほしいと思っています。

株式投資初心者は何から始める?17年続けて分かった最初に知っておきたいこと


投資で難しいのは、知識より自分の感情との付き合い方だった

2022年を経験して、投資について一つ考え方が変わりました。

以前は、

正しい知識を身につければ、冷静に投資できる

と思っていた部分があります。

でも実際には、知識があることと、自分のお金が減っているときに冷静でいられることは別でした。

最近読んだ本の中で、この点について改めて考えさせられたのが、モーガン・ハウセルの**『サイコロジー・オブ・マネー』**です。

投資やお金の世界では、数字や知識だけではなく、人がどう感じ、どう行動するのかも大きな意味を持ちます。

私にとって2022年の元本割れは、それを自分のお金で経験した出来事でした。

本を読んだから暴落が怖くなくなるわけではありません。

でも、

「なぜ自分はこんなに怖いのか」

「自分はお金とどう付き合いたいのか」

を考えるきっかけにはなると思います。

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※実際に私が読んだ本です。上記リンクにはアフィリエイト広告を含みます。


長期投資とは「ずっと含み益でいること」ではない

2022年を経験して、長期投資に対する私の理解も少し変わりました。

以前は、

長く持てば利益が出やすくなる

という結果の部分を強く見ていた気がします。

今は、

長期投資とは、途中の元本割れも含めて市場に居続けること

だと考えています。

もちろん、何でも持ち続ければいいという意味ではありません。

個別企業なら投資前提が崩れることもあります。

生活環境が変われば、資産配分を変える必要もあります。

だから私は現在、それぞれの資産に役割を持たせることを意識しています。

投資信託・個別株・ETFをどう組み合わせる?コア・サテライトで考える資産配分

そして、資産配分が大きく崩れたときにどう考えるかはこちらで整理しています。

リバランスはいつ、何のためにする?資産配分を「戻す」前に確認すること


「暴落しても売るな」ではなく、売らなくて済む準備をする

この記事で、

「暴落しても絶対に売ってはいけない」

と言いたいわけではありません。

数年後に使う教育費。

住宅購入資金。

生活費。

こうしたお金まで株式に投資していたら、市場が回復するまで待てない可能性があります。

大切なのは、

暴落してから根性で耐えることではなく、暴落しても生活が壊れない状態を作っておくこと

だと思います。

生活防衛資金を持つ。

近いうちに使うお金は投資しない。

自分が耐えられる範囲で株式を持つ。

投資先を分散する。

こうした準備は、相場が好調なときには地味に見えます。

でも、本当に必要になるのは市場が下がったときです。


知識は「怖くならないため」ではなく、「怖くなったとき」のためにある

金融庁の過去データでは、国内外の株式・債券へ積立・分散投資した場合、5年間では元本割れしたケースがある一方、20年間では元本割れしたケースがありませんでした。

長期投資を続けるうえでは心強いデータです。

でも、実際に自分のお金が減っている最中、

「過去の統計ではこうだった」

だけで平常心を保てるほど、私は冷静ではありませんでした。

怖かったです。

自分の判断も疑いました。

10年間が無駄だったようにも感じました。

それでも、長期投資について勉強してきたことには意味がありました。

なぜなら、

知識は、暴落しても怖くなくなるためのものではなかったからです。

怖くなったとき、

「自分は何のために投資しているのか」

「今起きていることは、想定していたリスクの範囲なのか」

「投資をやめる理由が本当に生まれたのか」

と、立ち止まって考える材料になりました。


その後資産は回復した。でも「次も大丈夫」とは思わない

結果として、その後私の資産は回復しました。

現在も投資を続けています。

でも、

「ほら、持っていれば結局戻るでしょう」

と言いたいわけではありません。

2022年当時、回復する未来が見えていたわけではありません。

次に大きな下落が起きたとき、同じ期間で回復する保証もありません。

将来の市場は誰にも分かりません。

2022年の経験から得た一番大きなものは、

相場の未来が分かるようになったことではなく、自分がどこまで下がると苦しくなる人間なのかを知ったこと

でした。

これは、実際に市場に居続けなければ分からなかったことです。


まとめ|元本割れは、長期投資の失敗とは限らない

NISAでも元本割れします。

オルカンでもS&P500でも、株式へ投資している以上、価格は上下します。

長期・積立・分散によって元本割れの可能性を軽減することは期待できます。金融庁やJ-FLECも、その考え方を資産形成の基本として説明しています。

しかし、リスクをゼロにはできません。

そして、データで理解することと、自分のお金で経験することには大きな差があります。

私は2022年、

10年近くかけて積み上げた生涯利益がほぼ消えました。

一度回復した後、再び元本割れも経験しました。

「今までの10年間は何だったんだろう」

と思いました。

でも今振り返ると、その経験も含めて私の投資歴だったのだと思います。

投資を始めるときは、

将来いくらになるかを考える。

それと同じくらい、

「もし元本割れしたら、自分はどうするのか」

も考えてみてください。

そのとき、

「それでも生活には困らない」

「投資する理由そのものは変わらない」

と思える金額から始める。

それも、長期投資を続けるための大切な準備だと思います。


参考資料・免責事項

金融庁「資産形成の基本」
金融庁「貯める・増やす ~資産形成」
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「リスクを抑えて賢くふやす!3つのポイント『長期・積立・分散』」

金融庁の長期投資シミュレーションは、過去のデータに基づくものであり、将来の投資成果を保証するものではありません。

本記事は筆者自身の投資経験をもとにした一般的な資産形成の情報です。特定の金融商品・銘柄の購入または売却を推奨するものではありません。株式・投資信託等には元本割れ等のリスクがあります。投資判断はご自身の状況・目的・リスク許容度を踏まえて行ってください。

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