「もう40代だけど、今からNISAを始めても遅い?」
資産形成について調べていると、20代や30代から投資を始めた人の話をよく見かけます。
すると、
「40代からでは複利を活かす時間が短い」
「今さら始めても意味がないのでは?」
と感じる人もいるかもしれません。
でも、40歳から60歳までは20年あります。
45歳からでも60歳まで15年。
50歳からでも10年あります。
投資に元本保証はありませんが、10年、15年、20年という期間は、長期投資を考えるうえで決して短い時間ではありません。
さらに40代は、20代より収入が増えていたり、家計が見えやすくなっていたりする一方で、教育費・住宅ローン・老後資金なども現実味を帯びてくる年代です。
だからこそ、
「いくら投資できるか」より、「いつ使うお金なのか」を整理してからNISAを使うこと
が大切だと思います。
この記事では、40代からNISAを始めた場合、
- 50歳まで
- 60歳まで
にどのくらいの資産になる可能性があるのかをシミュレーションしながら、40代ならではのNISAの使い方を考えてみます。
40代からNISAを始めても遅くない
結論から言えば、私は40代からでもNISAを始める意味は十分あると思っています。
理由は単純です。
仮に40歳から60歳まで投資を続ければ、運用期間は20年間あります。
金融庁も、資産形成の基本として「長期・積立・分散投資」を挙げています。
長く投資を続けることで複利効果を活かしやすくなり、積立によって購入時期を分散し、複数の資産へ分散することで特定の値動きによる影響を抑える考え方です。
もちろん、
長く持てば必ず増える
という意味ではありません。
株式や投資信託には元本割れの可能性があります。
それでも、
「20代から始めなかったから、もう遅い」
と何もしないより、
今から使える時間を活かす
方が資産形成の選択肢は増えます。
40歳から月3万円を積み立てるとどうなる?
まずは具体的な数字を見てみます。
40歳から毎月3万円を積み立てたとします。
元本だけなら、
10年間で360万円。
20年間で720万円です。
仮に年率3%・5%・7%で運用できた場合の概算は次のようになります。
| 毎月3万円 | 元本 | 年3% | 年5% | 年7% |
|---|---|---|---|---|
| 10年間 | 360万円 | 約419万円 | 約466万円 | 約519万円 |
| 20年間 | 720万円 | 約985万円 | 約1,233万円 | 約1,563万円 |
※毎月末に一定額を積み立て、一定利回りで運用できたと仮定した単純シミュレーションです。実際の運用成果を保証するものではありません。
月3万円でも、20年間なら元本は720万円です。
年5%で推移したという仮定なら約1,233万円。
40歳からでも、
積立額×時間
によって、それなりの資産規模になります。
月5万円ならどうなる?
毎月5万円ならどうでしょう。
| 毎月5万円 | 元本 | 年3% | 年5% | 年7% |
|---|---|---|---|---|
| 10年間 | 600万円 | 約699万円 | 約776万円 | 約865万円 |
| 20年間 | 1,200万円 | 約1,642万円 | 約2,055万円 | 約2,605万円 |
40歳から60歳まで月5万円を積み立てた場合、元本は1,200万円です。
年5%という仮定なら約2,055万円。
これを見ると、
「40代ではもう複利が効かない」
とは言い切れないことが分かります。
むしろ40代の場合、
20代ほど長い時間はない一方で、毎月の投資額を増やせる可能性がある
のが特徴です。
月10万円なら、NISAのつみたて投資枠を使い切れる
現在のNISAでは、18歳以上の場合、つみたて投資枠は年間120万円です。
つまり、月10万円でちょうど年間120万円になります。
成長投資枠は年間240万円、両方を合わせた年間投資枠は最大360万円です。
非課税保有限度額は合計1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。
月10万円を積み立てた場合は次のようになります。
| 毎月10万円 | 元本 | 年3% | 年5% | 年7% |
|---|---|---|---|---|
| 10年間 | 1,200万円 | 約1,397万円 | 約1,553万円 | 約1,731万円 |
| 20年間 | 2,400万円 | 約3,283万円 | 約4,110万円 | 約5,209万円 |
ただし、NISAの非課税保有限度額は1,800万円なので、20年間すべてをNISAだけで積み立てられるわけではありません。
売却した商品の簿価分については、翌年以降に非課税保有限度額を再利用できますが、単純に「1,800万円を超えて永遠に積み立てられる制度」ではありません。
それでも40代から資産形成を始める人にとって、1,800万円という非課税枠はかなり大きいと思います。
NISAは「年間360万円使わないと損」ではない
NISAについて調べると、
「年間360万円」
「最速5年で1,800万円」
といった言葉をよく見ます。
でも、40代からNISAを始める人が、そこに合わせる必要はありません。
月3万円でもいい。
月5万円でもいい。
ボーナス時だけ追加してもいい。
重要なのは、
NISA枠を埋めることではなく、自分の家計で無理なく続けられること
です。
金融庁も、資産形成では家計管理とライフプランニングを先に考え、収入と支出を把握したうえで資産形成に取り組むことを基本としています。
NISAは制度です。
目標ではありません。
年間360万円を使い切った人が偉いわけでもありません。
40代で重要なのは「何歳まで運用するか」
20代のNISAと40代のNISAで大きく違うのは、
お金を使う時期が近いこと
です。
例えば40歳なら、
子どもの大学進学。
住宅の修繕。
車の買い替え。
50代での働き方。
60代以降の老後。
などが現実的な話になってきます。
ここで注意したいのが、
10年以内に使う予定のお金まで全部株式へ投資しないこと
です。
例えば5年後に大学資金として300万円必要になることが分かっているなら、その300万円まで「長期投資だから」と株式投資に回すのは慎重に考えるべきです。
必要なときに株式市場が下落している可能性があるからです。
40代では、
投資できるお金
ではなく、
長期間使わなくても困らないお金
をNISAへ回す考え方が大切です。
50歳までの10年間でも意味はある?
では、
「私は40代後半だから、20年もない」
という場合はどうでしょう。
例えば45歳から55歳までの10年間。
50歳から60歳までの10年間。
10年間でも積立はできます。
先ほどのシミュレーションでは、月5万円を10年間積み立てると元本600万円です。
年5%という仮定なら約776万円。
月10万円なら元本1,200万円、同じ仮定なら約1,553万円です。
もちろん10年間では20年間ほど複利の影響は大きくありません。
それでも、
何もしない場合との差はあります。
また、60歳になった瞬間にすべて現金化する必要もありません。
老後資金として使うのであれば、60代以降も一部を運用し続ける可能性があります。
つまり、
「40歳から60歳まで」
だけで投資期間を区切る必要もないのです。
40代は「老後資金」だけを考えすぎなくていい
40代から投資を始めると、
「老後に2,000万円必要」
などの数字ばかり気になりがちです。
でも、私は資産形成の目的を老後だけに限定しなくてもいいと思っています。
資産が増えることで、
50代で働き方を変える。
転職する。
週5勤務から減らす。
一時的に休む。
FIREを目指す。
家族との時間を増やす。
といった選択肢も増えます。
つまり資産形成は、
60歳以降のためだけではなく、50代の人生を自由にするため
にも使えます。
私は現在40代で、50歳までのFIREを一つの目標にしています。
そのため、NISAも「老後資金を作る制度」とだけ考えているわけではありません。
家計・投資・働き方をつなげて考えることで、
いつまで働くかを自分で選べる状態へ近づくための資産形成
として使っています。
私自身が40代からFIREをどう考えているかについては、
40代からFIREを目指す|年収250万円だった私が世帯資産5,000万円、50歳1億5,000万円を目指すまで
で詳しく書いています。
40代なら「一括投資」と「積立投資」のどちらがいい?
40代になると、
「預金がある程度貯まっている」
という人もいると思います。
例えば500万円の余裕資金があった場合、
一気に投資するべきか。
毎月少しずつ投資するべきか。
迷うかもしれません。
理論上、長期的に上昇する資産を想定するなら、早く市場に資金を置いた方が期待値は高くなります。
一方、一括投資した直後に大きく下落すれば、精神的にはかなりきつくなります。
だから私は、
数学上の期待値と、自分が続けられる投資方法は分けて考えた方がいい
と思っています。
500万円を一括投資して30%下落すると、評価額は350万円です。
そこで怖くなって売却してしまうなら、最初から積立の方が自分には合っていたかもしれません。
長期投資では、
最適なタイミングを当てることより、市場から退場しないこと
の方が大切です。
40代なら、まず「つみたて投資枠」からでも十分
NISAには、
つみたて投資枠
と
成長投資枠
があります。
成長投資枠では個別株なども購入できます。
でも、初めて投資をする人が、
「年間360万円使えるから」
といきなり個別株を買う必要はありません。
つみたて投資枠では、金融庁の基準を満たした長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象になっています。2026年8月31日時点の対象商品一覧も金融庁が公開しています。
まずは、
低コストで広く分散された投資信託を毎月積み立てる
ところからでも十分だと思います。
慣れてから成長投資枠の使い方を考えても遅くありません。
「何を買えばいい?」より先に決めたいこと
NISAを始めると、
「オルカンとS&P500、どっち?」
「NASDAQ100は?」
「高配当株は?」
と商品選びが気になります。
でも、その前に決めたいことがあります。
それは、
このお金を何のために、いつまで運用するのか
です。
例えば、
60歳以降の老後資金。
50代で働き方を変えるための資金。
子どもの教育費。
10年後の住宅購入。
目的によって取れるリスクは違います。
私は資産形成で、
商品選びより先に、家計と使う時期を決める
ことが重要だと考えています。
NISAの商品選びで迷っている人は、
NISAを始める30日間──「いつかやる」を、今日の口座開設から変える
で、口座開設から積立開始までの流れを順番にまとめています。
オルカン1本でも資産形成はできる
40代からNISAを始める人にとって、
「できるだけ失敗しない商品を選びたい」
と思うのは自然です。
ただ、投資商品をたくさん持てば安全になるわけではありません。
例えば全世界株式型の投資信託なら、1本で世界中の多くの企業へ分散投資できます。
私自身も、新NISAではeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をコアの一つとして利用しています。
ただし、
オルカンなら絶対に安心
という意味ではありません。
世界株式全体が下落すれば、オルカンも下落します。
重要なのは、
「人気だから買う」
ではなく、
どういう資産へ投資している商品なのかを理解して持つこと
です。
オルカンについては、
【オルカン】配当金はいらない!自動再投資の税制優位性というメリット
で詳しく整理しています。
40代では教育費とNISAを混ぜない
40代の場合、資産形成と同時に大きくなりやすいのが教育費です。
子どもが小学生なら、大学までまだ時間があります。
一方、中学生・高校生なら、大学進学まで数年しかありません。
数年後に必要になる学費まで、
「NISAは非課税だから」
という理由で株式へ投資してしまうのは慎重に考えたいところです。
NISAのメリットは、
利益が非課税になること
です。
元本が守られることではありません。
教育費。
生活防衛資金。
数年以内に使う予定のお金。
長期投資できるお金。
ここを分ける。
40代では、この仕分けがかなり重要になります。
住宅ローンがあってもNISAをしていい?
40代では住宅ローンを抱えている人も多いと思います。
その場合、
「住宅ローンを先に返した方がいいのでは?」
という疑問も出てきます。
これは、
住宅ローン金利、住宅ローン控除、手元資金、投資期間、リスク許容度
によって変わります。
必ずNISAを優先すべきとも、必ず繰り上げ返済すべきとも言えません。
住宅ローンと投資のどちらを優先するかについては、
住宅ローンは繰り上げ返済すべき?投資を続ける?金利上昇時代の判断基準
で詳しく考えています。
40代の資産形成では、
住宅ローン、NISA、教育費を別々に考えない
ことが大切です。
全部同じ家計のお金だからです。
40代からNISAを始めるなら、私はこの順番で考える
40代から投資を始めるなら、いきなり証券口座を開いて商品を選ぶより、次の順番が分かりやすいと思います。
- 毎月の生活費を把握する
- 生活防衛資金を確保する
- 数年以内に必要なお金を分ける
- 長期間使わないお金を決める
- NISA口座を開く
- 無理のない積立額を決める
- 分散された投資信託などから始める
- 積立を自動化する
- 相場が下落しても慌てて売らない
- 年に1回程度、家計や投資額を見直す
40代では、
「急いで取り返そう」としないこと
が特に重要です。
20代から始められなかった10年、20年を、
リスクの高い商品で一気に取り戻そうとする必要はありません。
40代のNISAで避けたい3つの失敗
① 遅れを取り戻そうとしてリスクを取りすぎる
「20代から投資している人に追いつきたい」
と思っても、市場は年齢を考慮してくれません。
レバレッジ商品や一つの銘柄へ集中しても、時間を取り戻せる保証はありません。
むしろ40代は、使う時期が20代より近いからこそ、
大きな失敗を避けること
の重要性が高まります。
② NISA枠を埋めることが目的になる
年間360万円という数字を見ると、
「使い切らなければ損」
と感じるかもしれません。
でも、教育費や住宅資金まで投資に回して家計が苦しくなれば本末転倒です。
③ 下落したときに投資をやめる
長期投資を始めても、大きな下落は起こります。
金融庁も、市場が不安定な局面でも、長期・積立・分散投資の重要性を考慮し、冷静に投資判断することが重要だとしています。
「下落したから積立をやめる」
のではなく、
そもそも下落しても続けられる金額で始める
方が重要です。
私なら40代から始めるなら「少額でも今日始める」
40代からNISAを始めようと思っている人に、
「いくら投資すればいい?」
と聞かれたら、
私は最初から月10万円を勧めるとは限りません。
月1万円でもいい。
3万円でもいい。
まず、
実際に自分のお金が上下する経験をしてみる
ことの方が重要だと思っています。
投資を始める前に本を10冊読んでも、実際に10万円投資して5,000円下落したときの感情までは分かりません。
少額から始めて、
値上がりする。
値下がりする。
それでも積み立てる。
という経験をする。
その後、家計に余裕があり、
「この金額なら長く続けられそう」
と思えたら積立額を増やせばいいのです。
まとめ|40代からでも「残っている時間」を使えばいい
40代からNISAを始めるのは遅くありません。
40歳から60歳までなら20年。
45歳から60歳までなら15年。
50歳からでも10年あります。
20代と比べれば運用できる時間は短くなります。
でも、だからといって、
「もう遅いから何もしない」
必要はありません。
40代には40代の強みがあります。
収入が増えているかもしれない。
家計がある程度見えている。
人生で何にお金が必要かも分かってきている。
その一方で、
教育費。
住宅ローン。
親の介護。
老後。
と、お金を使う時期も近づいてきます。
だからこそ、
40代のNISAで一番大切なのは、投資額を最大化することではなく、家計と投資を一緒に考えること
だと思います。
月3万円でもいい。
月5万円でもいい。
NISA枠を満額使う必要はありません。
まず生活を守る。
近いうちに使うお金を確保する。
そのうえで、
長く使わないお金をNISAで育てる。
それだけでも十分に資産形成は始められます。
NISAを始めたいけれど、
「何からやればいいか分からない」
という方は、
NISAを始める30日間──「いつかやる」を、今日の口座開設から変える
から進めてみてください。
また、NISAだけでなく家計管理・投資・FIREまで含めて順番に整理したい方は、
にまとめています。
免責事項
本記事は、NISAや資産形成に関する一般的な情報と筆者個人の経験・考えを紹介するものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。
投資信託や株式等には価格変動があり、元本割れの可能性があります。
シミュレーションは一定の利回りが継続したと仮定した単純計算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。
NISA制度や対象商品等は変更される場合がありますので、実際に利用する際は金融庁や利用する金融機関の最新情報をご確認ください。
参考資料
金融庁「資産形成の基本」
金融庁「NISA特設ウェブサイト」
金融庁「つみたて投資枠対象商品」
金融庁「安定的な資産形成に向けた顧客対応について」


コメント