生活費を最適化しようとすると、「できるだけ自分でやったほうが節約になる」と考えがちです。
自炊をすれば外食費を減らせる。
DIYをすれば修理代や工賃を節約できる。
家庭菜園をすれば野菜を自給できる。
もちろん、それは間違いではありません。
ただ、私は**「自分でやること=節約」ではない**と考えています。
自分で作ったほうが安いはずなのに、材料費や道具代、失敗まで含めると買ったほうが安いこともあります。自分で修理するより、プロに頼んだほうが短時間で確実なこともあります。
一方で、多少割高になったとしても、自分でやること自体が楽しかったり、スキルとして身についたりするなら、それには十分な価値があります。
そこで私は、**「やりたいか、やりたくないか」と「安く済むか、割高・難しいか」**の2つの軸で考えると、判断しやすいと思っています。
生活費最適化は「何でも自分でやる」ことではない
生活費を減らす方法として、最も分かりやすいのが「自分でやる」という方法です。
料理を自分で作る。
家具を自分で組み立てる。
壊れたものを自分で修理する。
野菜を自分で育てる。
しかし、自分でやるには必ずコストがあります。
材料費だけではありません。
- 作業する時間
- 道具を購入する費用
- 失敗するリスク
- 完成品の品質
- 習得するまでの時間
- 精神的な負担
こうしたものまで考える必要があります。
例えば、3,000円の商品を自分で作るために、材料費2,000円と3時間を使ったとします。
「1,000円節約できた」と考えることもできますが、その3時間を別の仕事や趣味、休息に使うこともできました。
つまり、生活費最適化では「いくら安くなったか」だけでなく、「何を犠牲にして安くしたのか」まで考える必要があります。
だからこそ、「自分でやる」と「アウトソーシングする」の使い分けが重要になります。
ここで難しいのは、時間を使うこと自体が損とは限らないことです。自炊やDIYのように、自分がやりたくて使う時間なら、それ自体が楽しみになります。
お金で時間を買う場合と、あえて時間を使う場合のバランスについては、お金で時間を買うとは?時短だけではない「時間とお金」の使い方でも整理しています。
「自分でやる」と「アウトソーシングする」の4象限
判断するときは、次の4つに分けるとシンプルです。

この4つについて、もう少し詳しく考えてみます。
①「やりたい」×「安く済む」なら、積極的に自分でやる
これは最も分かりやすい領域です。
楽しいし、節約にもなる。
これなら、自分でやらない理由があまりありません。
例えば、
- 自炊
- DIY
- 家庭菜園
- 簡単な家具の修理
- 保存食づくり
- 家のメンテナンス
などです。
しかも、こうした活動には「節約」以外のメリットがあります。
料理を続ければ料理が上達する。
DIYを続ければ工具の扱いや修理の知識が身につく。
家庭菜園を続ければ植物を育てる知識が増える。
つまり、支出を減らしながら、自分自身の能力を高めることができます。
これは普通の節約術とは少し違います。
「お金を使わない」のではなく、お金を使わずに自分の中に新しい資産を作っているとも考えられます。
こちらの記事では具体的な自炊のポイントを実例で紹介しています。
②「やりたい」×「割高・難しい」なら、趣味として楽しむ
ここが意外と重要です。
自分で作ったほうが高くつく。
自分でやったほうが完成度も低い。
時間もたくさんかかる。
それでも、やりたい。
だったら、無理に「コスパが悪いからやめる」と考える必要はありません。
例えばDIYで、既製品を買ったほうが安い家具を作ることがあります。
材料費や工具代まで考えれば、明らかに割高かもしれません。
しかし、家具を作る時間そのものが楽しいのであれば、それは単なる「割高な家具」ではありません。
材料費を払って趣味を楽しんだとも考えられます。
家庭菜園も同じです。
スーパーで買ったほうが安い野菜を、わざわざ手間をかけて育てる。
経済合理性だけで考えれば、効率が悪いかもしれません。
でも、種をまき、成長を観察し、収穫すること自体が楽しいなら、それには別の価値があります。
ここでは、
「いくら節約できたか」ではなく「どれだけ楽しめたか」
を基準にしてもいいのだと思います。
生活費を最適化することは、生活から趣味を削り取って最低限の支出にすることではありません。
自分が価値を感じるところには、きちんとお金と時間を使う。
それも生活費最適化の一つです。
この考え方は、子どもの習い事にも通じると感じています。月謝や道具代だけを見るのではなく、その習い事によって子どもが得る経験や、親子で一緒に過ごせる時間まで含めて考える。スイミングとテニスを習っているわが家で、習い事のお金と親の関わり方について考えてみました
③「やりたくない」×「安く済む」なら、効率化する
少し難しいのがこのケースです。
自分でやれば安い。
でも、できればやりたくない。
掃除、洗濯、料理、買い物、各種手続き、ちょっとしたメンテナンスなど、生活の中にはこうした作業がたくさんあります。
ここで意識したいのは、
「安いから」という理由だけで、自分の時間を大量に使わないこと。
です。
たとえば、
便利な道具を使って家事を楽にする。
料理をまとめて作る。
買う店や商品をある程度固定する。
掃除の手順を簡単にする。
こうした工夫なら、支出を増やしすぎずに、お金と時間の両方を最適化できます。
私自身、普段使う店や商品をある程度決めて、毎回「どこが一番安いか」を調べなくて済むようにしています。
これは、安さを追い続けるのではなく、自分にとって十分なものを一度選んで、判断そのものを減らすという考え方です。
衣食住で実際にどんなものを定番化しているかは、生活費を最適化する――衣食住を「定番化」して無理なくお金を残すでまとめています。
また、わが家では掃除しにくいベッド下をロボット掃除機に任せています。Eufy C10を約10か月使って分かった、助かった点と残る手間を実例としてまとめました。
そして、この考え方は日用品だけでなく、固定費でも同じです。
私は中古住宅を購入した際、プロパンガス会社を一社ずつ調べるのではなく、比較サービスを使って候補を絞り、その中から契約先を決めました。
毎月支払うものほど、最安値を探し続けるより、一度きちんと比較して納得できるものを選ぶ方が、その後の手間も少なくなります。
実際にエネピを使ってガス会社を比較した流れは、中古住宅購入時にエネピを使ってガス会社を比較した体験談で詳しく書いています。
さらに、定番品が決まっているものなら、必ずしも新品を選ぶ必要もありません。
「欲しいものを安い商品に変える」のではなく、欲しい商品そのものは変えず、中古・新古品を利用して購入価格を抑える方法もあります。
私が実際に中古品を使っているものや、購入時に見ているポイントは、新品で買わないもの5選|中古・新古品で生活費を下げる方法にまとめました。
つまり、「自分でやるか、外注するか」の二択だけではありません。
そもそも、その作業や判断を減らせないか?
と考えるのも、生活費最適化の一つです。
④「やりたくない」×「割高・難しい」なら、アウトソーシングする
ここは、かなり明確です。
自分ではやりたくない。
しかも難しい。
時間もかかる。
自分でやっても品質が低い。
それなら、プロに任せるほうが合理的です。
自分で頑張っても下手だったり、時間がかかったりするなら、外注費は単なる「出費」ではありません。
時間、品質、安心を買っていると考えることができます。
例えば、自分でやったら丸一日かかる作業を、プロなら1時間で終わらせられるかもしれません。
その場合、外注費を払ったことで、残りの時間を仕事や趣味、休息に使えます。
だから、
「自分でできるのに外注する=浪費」ではありません。
むしろ、自分の時間をどこに使うかを選択しているとも言えます。

自分でできることが増えると「生活防衛力」も高くなる
ここからが、DIYや自炊、家庭菜園を単なる節約術として考えない理由です。
自分で生活を支えられる能力には、金額だけでは測れない価値があります。
料理ができれば、外食や中食への依存を減らせます。
簡単な修理ができれば、壊れるたびに買い替えたり、業者を呼んだりする必要がなくなります。
家庭菜園ができれば、規模は小さくても自分で食料を生産する経験が得られます。
DIYができれば、既製品を買うだけではなく、「必要なものを自分で作る」という選択肢が増えます。
つまり、自分でできることが増えるほど、外部への依存度を下げることができます。
これは普段の生活ではあまり意識しません。
しかし、災害が起きたとき、物流が止まったとき、物価が大きく上昇したとき、あるいは仕事を失ったときなど、普段とは違う環境になれば話は変わります。
普段は必要なかった能力が、急に役立つことがあります。
そう考えると、自炊やDIY、家庭菜園などは、
節約+趣味+スキル獲得+自給力+リスク管理
という複数のメリットを持っていることになります。
「自給自足」は完全を目指す必要はない
もちろん、すべてを自分で賄う必要はありません。
電気も水道もインターネットも、現代社会では多くのものを外部に依存しています。
完全な自給自足を目指すのは、かえって非効率でしょう。
重要なのは、
「必要になったら、自分でもある程度なんとかできる」
という状態です。
例えば、普段はスーパーで野菜を買っていても、家庭菜園の経験がある。
普段は業者に頼んでいても、簡単な修理なら自分でできる。
普段は外食していても、冷蔵庫にある食材だけで数日分の食事を作れる。
この程度でも、生活の選択肢は大きく増えます。
「自給自足できるか、できないか」という0か100かではなく、自分でできることを少しずつ増やしておく。
それだけでも生活防衛力は高まります。
「好きなことは自分で、苦手なことは外注する」
結局のところ、生活費最適化は「最安値を追求するゲーム」ではないと思っています。
すべてを自分でやろうとすれば、お金は減らせるかもしれません。
しかし、その代わりに時間がなくなったり、生活が苦痛になったり、品質が下がったりすることがあります。
逆に、何でもアウトソーシングしてしまえば、時間は増えるかもしれませんが、自分でできることが減ってしまいます。
だからこそ、
好きなことは自分でやる。
多少割高でも、趣味として楽しめるならやってみる。
安くて簡単なことは、自分でやって節約する。
やりたくないことは、できるだけ効率化する。
そして、
苦手で、難しくて、割高なことは、無理をせずアウトソーシングする。
このくらいのバランスがちょうどいい。
生活費最適化とは、単純に支出を削ることではありません。
自分にとって価値の高いことには時間とお金を使い、価値の低いことにはできるだけコストをかけない。
そして、自分でできることを増やしながら、必要なところでは人やサービスの力も借りる。
そうやって、自分にとって快適で、無理がなく、なおかつ環境の変化にも強い生活を作っていく。
それが、私が考える「生活費の最適化」です。

ここまで生活費を最適化して、無駄な支出を減らしてきました。
でも、節約の目的は「お金を使わないこと」ではありません。
浮いたお金を何に使うのかも、同じくらい大切です。
私自身が実際に「使ってよかった」と感じたお金については、こちらの記事で振り返っています。


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